オーストラリアへ「もがみ型護衛艦」輸出か その成果について解説

護衛艦くまの(JAPAN NAVY様,PhotoAC)

 オーストラリア政府は2025年8月5日、同国海軍が導入を計画している新型艦をめぐり、日本の護衛艦である「もがみ型護衛艦」の改良型を採用すると発表した。日本にとっては約1兆円規模の輸出となり、護衛艦の輸出としては戦後初の事例となる。

 オーストラリアと日本で共通しているのは「民主主義国で中国と対峙している」点にある。オーストラリアは日本よりは中国と離れた位置にあるとは言え、中国の南シナ海進出の影響は少なからず受けている。今年2月にはオーストラリアとニュージーランドの公海上で中国海軍が演習を実施するなど、緊張状態が高まっている。

 今回輸出するのは11隻であり、最初の3隻は日本で建造し、残り8隻はオーストラリアで建造する予定である。これは日本だけでなくオーストラリアの防衛産業発展にも寄与する事が期待される。日本側としても、防衛装備品の輸出は経済効果のみならず、日豪関係の深化も狙える。加えて、オーストラリアと関係が深いニュージーランドへの売り込みにも繋げられる可能性を秘める。

 オーストラリアで就役中のアンザック級フリゲートは170人の乗組員が必要だが、もがみ型は約90人で運用できる。人員不足に悩まされる中でこの差は大きく高評価を得た。日米豪の相互運用性も高まるだろう。日本側としても、初めて護衛艦輸出を成功させた実績を作れたのは大きく、今後の防衛装備品輸出に弾みがつく内容となった。

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